PPA Tour Asia、2027年にアジア4都市で開催へ 地域の主導権争い
ニュースの概要
PPA Tour Asiaは、2027年にアジアで開く最初の4大会の日程を発表した。1月下旬のタイ・バンコクを皮切りに、2月のフィリピン・マニラ、3月中旬のマレーシア・ペナン、3月末から4月初めのベトナム・ホーチミンへと、約2か月のあいだに東南アジアを転戦する構成である。各大会は5日間で、選手の獲得とファンの定着、地域市場での競技の根づかせを狙う。報道では、ライバルのAPPもアジアでのプロ大会に力を入れる姿勢を見せており、二つのツアーが同じ地域で主導権を争う構図が見えてきた。ピックルボールの成長の舞台が、北米から東南アジアへ広がり始めている。
引用元: PPA Tour Asia、2027年のアジア4大会を発表し地域競争が本格化(Pickleplus TV)
分析・見解
4都市を選んだ理由は、人口と大会運営の現実性
バンコク、マニラ、ペナン、ホーチミンは、どれも人口が多く、都市部の若い世代が厚い街である。加えて、屋内外のコートを確保しやすく、国際大会を運んだ実績のある会場が多い。主催者はまず、運営が確実に回る都市から旗を立てたと読める。
もう一つの特徴は、日程の詰め方である。1月末から4月初めまで、ほぼ3週間おきに開催地が移る。選手が一度の遠征で複数大会に出られるため、旅費の負担が下がり、出場者を集めやすい。これはゴルフのアジアツアーがよく使う手法で、競技の知名度が低い地域ほど効果が出る。
二つのツアーが競うのは、賞金より選手の囲い込み
ピックルボールのプロ界は、PPAとAPPという二つの大きなツアーが並立している。北米では、有力選手との専属契約や放映権を巡る競争がすでに激しい。アジアに舞台を移しても、争点は同じだと考えられる。
注目すべきは、現地で育つ選手の存在である。アジアの強豪選手は、いまはまだ層が薄い。早い段階で現地の有望選手と契約し、地元の英雄に育てたツアーが、次の10年のファンを押さえる。ツアーの数が増えるほど、選手にとっては選択肢が広がる一方で、大会が重なれば出場の取捨選択を迫られる。
東南アジアの観客は、競技より体験で入ってくる
北米のピックルボールは、元は趣味の競技として広まった。アジアでは、まず商業施設やホテル、コワーキング併設のコートなど、遊びの場として入り込んでいる。観客も、競技の戦術に魅せられて来るのではなく、友人と楽しめるイベントとして来る傾向がある。
この違いは大会の作り方にも響く。試合の合間に体験コートや飲食、物販を置いた、お祭りに近い設計が成果を左右する。プロ大会は、競技の頂点であると同時に、新しい競技人口を呼び込む広告塔の役割も担う。
日本は空白地帯に見えるが、今回の日程には入っていない
今回の4都市に日本は含まれていない。日本はパデルやテニスの市場が成熟しており、競技施設のコストも高い。主催者が、費用をかけずに伸びる東南アジアを優先した判断は筋が通る。
ただし、近隣で大会が増えれば、日本の選手や愛好者の関心は自然に高まる。大会の映像や選手の遠征情報が日本に流れ込み、国内の競技人口を押し上げる可能性がある。逆に、日本が出遅れれば、アジアの拠点が東南アジアに固まってしまう恐れもある。
ビジネスへの影響
用具・施設の事業者は、大会の波に合わせて動ける
大会が開かれる都市では、直前の数か月に用具や体験イベントへの関心が跳ね上がる。日本の用具メーカーや輸入販売業者にとっては、現地の大会に合わせて商品を出展するか、現地代理店と組む好機になる。出遅れて価格競争に巻き込まれるより、品質や保証を前面に出し、プロ選手の使用実績を作る方が収益を守りやすい。
施設運営者は、大会で流れた映像を自館の集客に使える。ツアーの公式映像を上映する観戦イベントは、費用が小さく、会員の獲得に直結しやすい。
日本のイベント事業者は、連携の窓口を早めに作る
ツアーが地域ごとに大会を増やすとき、現地の運営会社やスポンサーを探す動きが必ず起きる。日本の事業者は、選手の派遣、通訳、会場運営の知識を持つ立場として、東南アジア大会の周辺事業に関われる余地がある。
具体的には、次の三つを今のうちに準備したい。第一に、PPAとAPPのどちらにも偏らず、情報を取れる関係の維持。第二に、東南アジアの現地企業との簡単な覚書。第三に、国内大会で使える選手の招へい計画である。どちらのツアーが主導権を握るかは読めないため、片方に賭けない構えが損失を抑える。